複雑な地形条件など様々な制約を受けながらも、カンチレバー工法は長スパンPC橋梁を生み出してきました。その施工方法も多様であり、基本工法に独自の特徴を加えた工法が用いられています。例えばアーチ橋や斜張橋のための架設工法など、それぞれの橋に最適な工法が、効率的な施工を行うために用いられます。
拡幅カンチレバー架設
幅員が変化する橋梁をカンチレバー工法で架設する場合に、特殊な移動作業車を用い、移動作業車の幅も橋梁の幅に合わせて変化させながら施工する工法です。
曲線カンチレバー架設
曲率が小さな橋梁をカンチレバー工法で架設する場合に、曲率に合わせて改造した移動作業車を用いて施工する工法です。
逆カンチレバー架設
急峻な谷地形など特殊な施工条件下で、橋台から片側に張り出しながら施工する工法です。
仮支柱併用架設
支間の途中に仮支柱を設置し、主桁を支持した上で張出し架設を行う工法です。施工中に一時的に生じる断面力を低減することができます。側径間長の長い橋や支間割がアンバランスな橋で、通常のカンチレバー架設のみでは対応できない場合に用いられます。
斜吊り架設について
柱頭部に鋼製などの仮設の塔柱(ピロン)を設け、張出し施工の際に、PC鋼材を斜張橋の斜材ケーブルと同様に斜めに配置して主桁を支える補助工法です。ピロンを橋台側に配置して、逆カンチレバー架設と併用される場合もあります。
プレキャストカンチレバー架設
プレキャストセグメント工法をカンチレバー工法に適用した工法です。主桁を橋軸方向に適当な長さに分割したセグメントを、ヤードなどであらかじめ製作し、それを架設現場に輸送後、現場打ち工法と同様にポストテンション方式によりプレストレスを与えて張出し架設を行います。
分岐カンチレバー架設
主桁が分岐する橋梁をカンチレバー工法で架設する場合に用いられる工法です。主桁が分岐する橋梁では、通常、幅員変化を伴うため、用いられる移動作業車には、幅員変化への対応と分岐位置において移動作業車自身が分離可能な構造が求められます。